026  「村野藤吾」建築勉強会(第2学舎エリア編 その3)

今回はあまり馴染みのない建物・経商研究棟という建物で、その全景を撮ろうとしたのですが、紅葉真っ盛りの銀杏並木に阻まれてしまいました。千里山キャンパスは紅葉真っ盛りでした!

第2学舎エリアその2はこちら

経商研究室棟

矢印の建物が経商研究室棟。2期に分けて建てられた。恐らく関大会館から撮影されたこの写真に写っている建物は以下の通り(クリックで拡大します)。
①第2学舎1号館(1936 ?)
②第2学舎2号館(1957・村野)
③円神館(1964・村野)
④新体育館(1963・村野)
⑤誠之館茶室(1962・村野)
⑥簡文館(1955・村野)
個人研究室なので、(使える面積を減らさないため)外ブレースによる耐震改修となりました。
ブルーシートをかけて一時物置場となっているが、こういったモノは管理上も美観上も片付けた方が良いでしょう。
平面図で3箇所の入り口を確認してみてください。(クリックで拡大します)
①〜③は増築の順番、緑の矢印は名神高速道路との離隔距離(それぞれ後述)。

経商研究室棟のデータ

さて、この建物はⅢ期に分けて建てられたのですが、その建て方が変わっているので、少し補足しておきます。

①1966(昭和41)年竣工部分-経済学部商学部研究室

構造:鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建
建築面積:565㎡
延床面積:3,170.17㎡

上記平面図の①の部分が竣工(写真赤矢印部分)した後の写真。1967(昭和42)年6月撮影。増築する予定があることが外壁面からわかる。
②1968(昭和43)年竣工部分-経済・政治研究所

構造:鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建
建築面積:276.26㎡
延床面積:1,669.31㎡

上記平面図の②の部分が竣工(写真赤矢印部分)した後の写真。1970(昭和45)年8月撮影。Ⅰ期工事と少し離れて建てられている。社会学部開設に伴って、左に見える白い建物「第3学舎1号館」と同時に建てられた。竣工当時の名称は「社会学部研究室」。
③1974(昭和49)年竣工部分-経済学部商学部研究室

構造:鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建
建築面積:186.45㎡
延床面積:1,118.7㎡

上記平面図の③の部分が竣工(写真赤矢印部分)した後の写真。1984(昭和59)年3月撮影。Ⅰ期工事とⅡ期工事部分を繋ぐように増築されたことがわかる。

経商研究室棟を見学した幹事の感想

  • エントランスの風除室を増築して上手く使っている(意匠は少しリッチな雰囲気だが…)
  • 階段を薄く見せようとする工夫がすごい。こんな仕事は今はしないだろう。
  • Ⅲ期に分けて増築された理由、間を空けて最後に繋ぐような順序にした理由、雁行している理由(これは名神高速道路との必要離隔距離の関係かもしれない)など謎が多い…

20231007