031 「村野藤吾」建築勉強会(誠之館エリア編)

さて、昨年9月から月に1度行ってまいりました勉強会も最終日となりまして、誠之館エリアをご紹介します。

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上の図で
14:誠之館2号館(1962)
15:誠之館3号館(1962)
16:KUシンフォニーホール(1962)
  ※旧名称誠之館4号館(特別講堂)
17:誠之館3号館和室(1962)
18:誠之館3号館新館(1968)

3号館新館竣工直後(昭和43年6月)の航空写真ではこのように配置されていました。

誠之館2号館・3号館

誠之館2号館の外観。1階の黒い部分は増築。
外廊下部分の手すりが錆びています。管理者さんメンテナンスしてあげてください!
この渡り廊下の屋根が不思議
屋根が右に左に傾いています。水勾配・排水を考慮した、意図的なデザインと思われます。

誠之館3号館和室

千里山キャンパス唯一の村野日本建築
スリットを入れて、その部分に釘を打つようにされています。

KUシンフォニーホール(特別講堂)

特別講堂です。入り口庇は増築されたものです。
内観です。独創的な空間になっています。サークル活動で利用していた学生は「すごく使いやすくて良いホール」と気に入っているようでした。
側面部分の外観
後ろ正面。以前はこの部分に工学部からつながる「斜めの階段」があった。こちらも入口として利用できる。
屋上の形は防水工事泣かせです。
誠之館の横に立っている凜風館の屋上から夕景を撮影。

誠之館各棟のデータ

誠之館2号館
構造:鉄筋コンクリート・鉄骨造陸屋根・亜鉛メッキ鋼板葺2階建
建築面積:529.00㎡
延床面積:1,057.98㎡
竣工年:1962(昭和37)年

誠之館3号館
構造:鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
建築面積:321.34㎡
延床面積:1,210.28㎡
竣工年:1962(昭和37)年

誠之館3号館(和室)
構造:木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建
建築面積:70.75㎡
延床面積:70.75㎡
竣工年:1963(昭和38)年

誠之館3号館(新館)
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造陸屋根地下1階付5階建
建築面積:668.34㎡
延床面積:2,960.27㎡
竣工年:1968(昭和43)年

KUシンフォニーホール(特別講堂)
構造:鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
建築面積:556.68㎡
延床面積:1,059.38㎡
竣工年:1962(昭和37)年

誠之館エリアを見学した幹事の意見

  • 2号館と3号館の渡り廊下の屋根傾斜が、意図的な設計なのか経年によるものかが謎。ただ、経年劣化ではあれほどゆがまないし、雨勾配を考えると意図的な設計の可能性が高い。そうであれば少しやりすぎな気もするが、甲南女子大学の渡り廊下とも比較してみたい。
  • 2号館の1階鉄骨造増築部分はデザイン的にもマッチしている。3号館は元々1階のスチール部分が黒く塗装されていて、違和感が無い。
  • 2号館のタイルは部分的に裏面を表側にしたり、面白い仕上げとなっている。
  • KUシンフォニーホールは室内の雰囲気がすばらしい。

勉強会はこれで終わりです。いかがだったでしょうか?今後は関大キャンパス以外の村野建築見学なども企画する予定です。

20230127